ワーカーコネクト -IoTで現場作業員の熱中症リスク・転倒を検知

現場作業員が抱える熱中症による「墜落・転落」「転倒」のリスク

近年、地球温暖化によって日本の平均気温は上昇を続けています。熱中症患者数は増加傾向にあり、気温の高い夏の時期には「熱中症」が集中して発生しています。熱中症は、体温調節や循環機能などの働きに障害が出る病気です。適切に処置しないと、場合によっては命にかかわる事態に陥る危険性もあります。
特に、高温の環境下で作業をする機会のある現場労働者の多くが、そのリスクを抱えながら従事しています。厚生労働省が公表した令和2年「職場における熱中症の死傷災害の発生状況」(※)によると、令和2年における職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は、959人となり前年を上回りました。過去10年間(2011~2020 年)の発生状況をみると、年平均で死傷者数 625人、死亡者数 21人となっています。
業種別では建設業、製造業の患者数が多く、死傷者数は建設業 215 件、製造業 199 件となっており、全体の4割以上がこれら業種で発生しています。

さらに、建設現場での労働災害として注意すべきリスクが「墜落・転落」「転倒」です。先述の調査では事故の種類としては、死亡、死傷災害ともに墜落・転落が最多となっています。また、熱中症の発生が、二次災害発生につながる事例も見られます。熱中症により意識を失って転倒し、頭部や肩を強く打った事例、高所から墜落した事例などが見られました。労働環境が変化して作業員の高齢化、人手不足が進む中、従業員の安全と健康管理の重要性が高まっています。

徹底した安全衛生管理が難しい理由

現場管理者にとって、現場の徹底した安全衛生管理は、従業員や自社のみならず顧客や社会の信頼に応えるための重要な施策です。現場作業員の熱中症や「墜落・転落」「転倒」事故のリスクを抑える対策が求められています。

熱中症対策としては、こまめな休憩と水分補給、ファン付き作業服の導入などが考えられます。しかし、大所帯の作業現場では個々の健康管理に目が行き届きにくく、注意喚起をしても個人により体調や症状も異なるため、細かな健康管理が実施できているとは言えない状況です。

近年は、現場のデジタル化も進展し、作業員が現場でスマホなどのモバイル端末を使用することも増えています。しかし、導入コストがかさんだり、作業員に持ち物などの負担を強いたりすることが多く、効果的な施策の実施が難しいのが現状です。

IoTを活用した現場の危機管理システム「ワーカーコネクト(Worker Connect)」

こうした課題を解決する方法として、多くの企業が注目しているのが、バイタルセンサーを活用したIoTシステムです。建設現場や屋外で働く作業員の熱中症などの健康管理、転倒事故を把握できる方法として注目されています。今回は、センスウェイが提供する、IoTで現場作業員の熱中症、転倒を検知する「Worker Connect」をご紹介いたします。

Worker Connectは、センスウェイの省電力なLoRaWANネットワーク技術、対応センサーと、IoT開発の豊富な経験をもつ三和通信工業の健康管理アプリケーションを組み合わせた作業員の健康・安全管理ソリューションです。バイタルセンサーで作業員の情報を収集し、センスウェイのLoRaWANネットワークで送信。アプリケーションによって情報一括管理と監視が可能で、必要に応じて監督者へのアラート通知が可能です。

具体的には、軽量な腕時計型のバイタルセンサー「LW360-HR」を作業員が装着し、心拍数、皮膚温度などの計測データを収集してLoRaWANを活用してシステムに送信します。屋外での位置情報の取得も可能です。

また、三和通信工業が開発したアプリケーション「KOKOCHI VITAL」によって、複数のバイタルデータを一元管理することで、作業員の健康状態、機器を一括管理できます。センサーのGPS情報によって位置情報を表示してマップ表示ができ、転倒検知や皮膚温度、心拍数を基にしたアラート機能を備えています。設定した閾値を超えると、メールにてアラート送信を行えるため素早い対応が可能です。作業員の健康状態や転倒事故をリアルタイムに把握し、体調変化を早期に発見した迅速な対応が可能です。転倒時などの不測の事態が発生した際、おおよその位置を基に早急な駆けつけ対応も実現できます。

【転倒検知の仕組み】

Worker Connectは、危機管理システムを安価に導入してランニングコストを抑えた運用が可能です。また、センサーやアプリケーションはすべて初期設定済みで提供され、すぐに利用が可能である点も特徴の1つです。

さらにオプションとして、SMSや音声による自動アラートも可能で、夜間や監督者が現場にいない場合でもすぐに対応できます。また、ビーコンによる位置表示機能、黒球温度センサーによる暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)の計測も可能で、暑さ指数を基に現場への注意喚起を促し、複合的に熱中症対策を実施できるようになります。

センスウェイは、IoTに必要な通信である長距離・低消費電力のLPWA(※)のLoRaWAN技術を活用したIoTプラットフォームを開発。高い技術力を背景に、ビジネス開発コンサルティングやIoT通信サービス「SenseWay Mission Connect」なども提供しています。作業現場におけるリスクを抑えたい企業様は、ぜひ一度、センスウェイにご相談ください。

※LPWAとは「Low Power Wide Area」の略で、「低消費電力で長距離の通信」ができる無線通信技術の総称のことで、最大伝送速度は100bps程度、伝送距離は最大50 km程度です。他の通信方式と比べて、特性が「IoT/M2M」に非常に適しているため、IoT分野の通信に広く利用されています。