建設現場熱中症対策ソリューション -WBGTによる安全管理

建設工事現場の安全を脅かす「熱中症」

近年、地球温暖化による気温上昇に伴って、注意喚起を呼び掛けられる機会が増えた「熱中症」。気温の高い夏場には、熱中症が集中して発生することが多いです。高温の環境下で体温調節や循環機能などの働きに障害が出る病気であり、めまいや悪心、頭痛なろから筋肉の痛みを伴うけいれん、脱力感や意識混濁なども起きます。適切に処置しないと、命にかかわる事態に陥る危険性もあります。

特に、日中における屋外での作業が多い建設工事現場や、空調設備の効きにくい大規模な工場施設内などでは、現場監督者が気づかないうちに作業者が熱中症リスクにさらされることもあり、思わぬ労働災害や事故につながります。

厚生労働省報道発表資料によると平成30年度の建設業での労働災害による休業4日以上の死傷者数は15,374人でした。事故発生状況で最も多いのが「墜落・転落」「はさまれ・巻き込まれ」「転倒」の3つです。熱中症予防は、これらの事故リスクを下げるためにも有効です。

平成30年の労働災害発生状況を公表
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04685.html

【参考】労働災害発生状況の分析等
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000633584.pdf

多くの企業にとって、現場の徹底した安全衛生管理は、従業員や自社のみならず顧客や社会の信頼に応えるための重要な施策となっています。そのため、熱中症に対する万全な予防策を取ることは必要不可欠です。

そこで重要となるのが、建設現場作業環境の整備です。作業中の温湿度などの変化を適切に把握し、日よけや通風、散水などで環境を整備する必要があります。また、休憩場所の整備、作業時間の短縮、作業員の健康管理や状態の把握などの対策も必要です。さらに、危険性が高まっている場合は、適宜アラートによって回避することが求められます。

建設現場熱中症対策に欠かせない環境整備の課題 -暑さ指数(WBGT)

建設現場の安心・安全を確保するため、熱中症予防の指標として広く利用されているのが「暑さ指数(WBGT)」です。同指数は、1954年に米国の海兵隊新兵訓練所がリスクの事前判断に用いるために開発されました。その後、1970年代に同国スポーツ医学会が指針として採用して以降、活用が広がって1982年にISOに採択されています。

日本国内では、1994年に日本体育協会が「熱中症予防の原則およびガイドライン」を発表し、スポーツ活動中の熱中症事故予防を呼びかけるようになりました。2006年には環境省が「熱中症予防情報」サイトを開設し、国内各地の暑さ指数(WBGT)の情報を提供する仕組みを本格的に運用開始しています。

ただ、暑さ指数(WBGT)をより精緻に計測したり、それを基にしたアラートなどの危機管理対策を整備したりするには、さまざまな課題が指摘されています。

たとえば、建設工事現場などでも設置可能な耐久性に加えて、通信装置の配線や品質の確保も重要となります。さらに、環境整備の導入コストだけではなく、長期的に安定した運用が実現できる必要があります。

熱中症対策ソリューションで現場の安心・安全を確保

こうした課題を解決する方法として、多くの企業が注目しているのがIoTなどのデジタル技術を活用した「熱中症対策ソリューション」です。IoTや各種センサーの情報を素早く収集し、それを一括管理して状況を見える化。必要に応じてアラート通知などによる迅速な対応を可能にします。

IoT技術が広く活用される中、様々な熱中症対策ソリューションが登場しています。その中から、今回はセンスウェイが提供している熱中症対策ソリューションをご紹介いたします。

センスウェイのソリューションは、センサーとネットワークサービス、クラウドが基盤となっています。熱中症リスクの見える化、アラート機能を実現するシステムをワンストップで提供する点が特徴の1つです。具体的には、低消費電力広域通信技術である「LoRaWAN」、暑さ指数(WBGT)を計測する黒球付きセンサノードなどで構成されます。

センサーは「JIS B 7922 クラス1.5」に準拠した正確なWBGTの測定が可能です。輻射熱を測定する黒球温度センサーが一体化していることで、設置時の煩雑さを抑えつつ、現場の環境を正確に反映したデータを取得できます。屋外用は完全防水仕様であり、高い耐性度も備えています。

写真:センサー画像
WBGTセンサー画像

また、LoRaWANによる通信では、単一のゲートウェイを設置するだけでより広範な現場でもデータを集めることができ、消費電力を抑えつつデータの伝送が可能なので、電池による駆動を実現しました。電源配線不要で設置が簡単なのも特徴です。

さらに、センサノードの送信データは、クラウド基盤に伝送・管理されます。グラフによる見える化や設定した閾値を超過した際のメールや携帯端末への音声、メール通知などによるアラート機能を備えています。機器の設置に当たって配線不要で、簡単に取り付けることが可能です。

イラスト:LoRaWANは長距離での通信に特化しているのが大きな特徴です。

熱中症対策ソリューションは、建設現場のIoT化を推進する大手ゼネコン様との共同プロジェクトによって導入されました。また、同社による実証実験、バイタルセンサを用いた建設現場や工場施設内で働く作業員のより精密な体調管理などを通して、実効性の高い現場管理サービスとしての応用が検討されています。

こうした改良を重ねつつ、センスウェイでは、より実効性の高い現場管理サービスへの進化を目指しています。今後は重要度の高い建設現場や工場施設内で利用できるサービスとしての提供を見据えています。

熱中症による事故防止の有効策を検討されている企業様は、ぜひ一度、センスウェイにご相談ください。